Heavy Duty

一緒に考えましょう。

ステーブルコインの「何がすごいのか」について解説します

お金の安心なところってどんなところだと思いますか?

誰に対しても使える? 持ち運びができる? 確かにその点も便利だと思います。けれど最も良いところは、その価値が変わらないところです。

法定通貨は、国内であればよほどのことがない限り空間的、時間的にその価値が変動することはありません。この点が、お金というものが根強く世界を支配している理由です。

しかしながら、近年知名度を増してきているビットコインなどに代表される仮想通貨はどうでしょうか?

 

仮想通貨って危ないよね

仮想通貨と切っても切れない関係にあるのが、ブロックチェーンである。ブロックチェーンとは、その名のとおり全ての関係者が鎖でつながれている状態であり、なにか動きがあればわかるようになっている。

想像してみてほしい。10人の人間がピンと張られた鎖で繋がれているとする。この鎖は鋼鉄製で伸び縮みはしなさそうだし、切断することも困難だ。

このとき、誰かひとりが前後左右どちらかへ動いたらどうなるか? 答えは自明、鎖で繋がれている全員がその方向に動く又は引っ張られることになる。つまり何らかの力がかかることになり、この鎖で繋がれた全体の中に何らかの動きがあったことがわかるのだ。

これがブロックチェーンである。プログラムによって相互監視の仕組みを担保し、不正ができない、誰が何をしたのか必ず記録が残る、という仕組みだ。もうお気づきだと思うが、この仕組みはお金と非常に相性がいい。

このブロックチェーンの技術が底支えすることによって、ビットコインなどの仮想通貨はその信頼性を担保されている。

ただ、未だに仮想通貨は危ないものであるという認識が根強い。それは新しいものに対する受け入れにくさのようなものが大部分であると思うが、加えてボラティリティが大きい、つまり昨日の10円が今日の100円に、そしてその逆もあり得るということだ。

ボラティリティ、つまり流動性が高いと何が困るのか? 仮想通貨を投資の対象、トレードの対象として見ているのなら特に問題はない。そうであるなら株式やほかの金融商品とかわらないからだ。

問題は、仮想通貨が通貨であること。通貨の主な役目とは何かというと、決済である。昨日ジュースを買うのに使ったビットコインが、今日いくらの価値になるのかわからなければ、それを決済に使う人間はいないだろう。昨日ジュースを買えたのと同じ通貨で、今日も同じジュースを買えることが大切なのだ。

 

あなたが国家に等しくなる

この流動性の問題があるため、仮想通貨は決済に使いづらい。この弱点を克服するためにはどうすればいいか。非上場にして閉じた世界で運用するか? それでは一部のコミュニティでしか使用されない。ではどうするか?

答えは簡単、流動性が高すぎるなら、流動性が低い資産に紐づければよい。この考え方に根差しているのがステーブルコインだ。

例えば1円あたり1仮想通貨円のステーブルコイン<SYEN>のようなものがあったとしよう。従来の仮想通貨であれば、流動性が高すぎるため決済に使うことは難しかった。

しかしこのステーブルコイン<SYEN>は、上述のとおり1円あたり1仮想通貨円だと決まっている。これは、ほとんど円を持っているのと同じ状態になる。どうしてそんなことができるかといえば、それは各自で勉強してみてほしい(例えば私が1円を持ち、あなたに1SYENを発行し、その1SYENをいつでも1円と交換してあげるよ、というような状況だ)。

これのなにが画期的なのかといえば、ついに通貨がブロックチェーンによって信頼性を担保されるという点だ。ブロックチェーンの実態はプログラムなので、開発やチェックのコストが低い。

そしてプログラムは簡単に複製ができる、つまりは○○銀行のプログラムをコピーしてきて、私が個人銀行を開設できるようになるのだ。

個人が銀行になることができれば、お金を発行することができる。お金を発行できるのは、これまでは国家しかなかった。それが個人の手に届くことになる。

もちろんそのような個人銀行が乱立すれば混乱するだろう。支払はかならず○○コインで、なんて常識も発生するかもしれない。

しかし、この○○コインでと言われるようになるまで大衆から支持を得ることができればどうなるか。個人主義である現代では、この支持を得るために必要なのは本人の取り組みだけである。

これはまさに、あなたが国家になることと等しい。

 

テクノロジーが飛び越える全て

これまでの時代は、なにをするにも物質が必要だった。銀行や会社を始めるには資本が必要であったし、ものづくりにも巨大な工場が必要である。そしてこれらは容易に複製できない。株券を単純にコピーしても価値を持たないし、工場をいくつも作るのには時間がかかった。

しかしテクノロジーが進化し、これらの参入障壁を次々と破壊している。会社に所属せず、個人で生きている人が増えてきたのもこのためだ。数世代前には個人の力ではどうしようもなかったものが、今ではいくらでもなんでもできる。

テクノロジーは時間を短縮し、仕組みを複製可能にし、そして全てのものを最適化していく。

近い将来、その最適化の対象に人間も含まれることになるかもしれない。