Heavy Duty

一緒に考えましょう。

小学生でもわかるように税金の種類を紹介します。

大人たちが口にする「税金」という言葉。

よく耳にする割には学校では詳しく教えてもらえないし、なにやら大人たちは嫌がっているように見えますね。

なぜ学校では詳しく教えられないのか、なぜ嫌がっているのか、そして身近な税金について紹介していこうと思います。

 

一番身近なのは消費税

日本には憲法というものがあり、その中には基本的な義務が定められている。それは義務教育を受けること、働くこと、納税することの3つである。

義務教育を受けるのは生き方を身に着けるため、働くのは助け合いで成り立つこの社会を維持するため、そして納税するのは社会の維持のためのお金をみんなで負担するため、というのがそれぞれの目的である。そして納税とはどうやるのかといえば、端的に言ってお金を国に納めることで行う。

国に納めるやり方はいろいろあるけれども、直接国に納めている人は少ない。というのも、1億人を超える人が暮らす社会でひとりずつ集めていると管理(納めていない人に催促したり、納め過ぎた人に返したり)が大変なため、税金は主に「会社」に集められ、その「会社」がまとめて納めることになる。

その中でも一番身近なのは消費税で、最近10%に引き上げられたことが記憶に新しい。この消費税は間接税の代表格で、「モノやサービスを消費したとき」に集められる税金だから消費税という(本来は消費したその人が納税義務者ではないので、この消費税という呼び方はまやかしなのだが、その話は別の機会に譲ることにする)。

この消費税は個人が買い物をしたときに「会社」が集め、この「会社」が個人の代わりに国に納めることになる(ここに先程のまやかしのカラクリがあるのだが……)。つまり私たち個人は、買い物をすればするほど消費税を集められ、納税していることになる。

所得税や住民税といった直接税は、個人の「儲け」を計算の基礎にして税金を計算するが、消費税は個人の「消費」をもとにする。このためどんなに「儲け」が出ていないような人でも、日々の生活に買い物は欠かせないので、「消費」によってある程度の納税を必ずしていることになる。

 

次に身近なのは所得税と住民税

大人は、そのような「消費」をする一方、働くことを通じて給与を受け取る。この給与は働いて得た「儲け」なので、この「儲け」については所得税と住民税を納めなければならない。

同じ「儲け」について2種類の税金を納めなければならないのは不思議に感じるかもしれないが、この2種類の税金は納税する相手が違う。所得税は国、住民税は住んでいる都道府県と市区町村だ。

なぜわざわざ分けるのかというと、私にも意味が分からない。使う目的が違うとはいえ、それは初めから1か所に集めて後から分配すればいいだけなのだから合理性がないし(実際消費税は国の分も地方公共団体の分もまとめて会社が国に納付する)、役所にいる地方公務員の雇用を維持するためだけの無駄な仕事だと思う。

少し話がそれたが、とにかくこの所得税と住民税は働くことで得る「儲け」について計算される、ということを覚えておいてほしい。普通に働けば儲けが出るので(働いたのに儲けが出ない=赤字になるということは損をしているので、普通は損してまで働かないのである)、この所得税と住民税は、国(地方公共団体)にとって消費税に次いで安定的な財源である。

ではこれはどうやって集められているのだろうか。答えは受け取る給与からあらかじめ引かれているのである(これを源泉徴収という)。

給与というのは会社から個人へ支払われるので、これをあらかじめ引いておくのは会社だ。つまり会社が個人の税金を預かる(集める)ことになる。この預かった税金について、会社は毎月きちんと集計して国に納付をしている。

この仕組みが回り続ければ、個人はとりあえず働いて給与を受け取るだけで自動的に納税することになる。会社の負担が大きいということを除けば、働いている人が考える必要のない、よくできたシステムだとは思う。

ちなみに、ユーチューバーや芸能人など、決まった会社で働いていないひとは、「儲け」と「税金」を自分で計算して納めなければならない。この手続きを確定申告という。

 

税金について学ぶ必要がある理由

こうして消費税、所得税、住民税は国(地方公共団体)に納付され、私たちの社会を維持するために使われる。この社会を支えているのは、私たちひとりひとりが少しずつ出し合った税金なのである。

他にも会社が「儲け」について納税する法人税、亡くなった人から財産を引き継いだ「儲け」について納税する相続税、家や土地を「所有」していることについての固定資産税など、税金の種類は幅広い。気になったら調べてみることをお勧めする。世の中の仕組みが少しわかるだろう。

そしてここで、冒頭に述べたことについて考えてみる。つまりなぜこのことを学校で詳しく教わらないのか、大人が税金を嫌がるのかということだ。

学校で詳しく教わらないのは、今まで書いてきたように普通に生活していれば自動的に納税されるからだ。また、大人が税金を嫌がるのは、教わる機会が少ないというのもあるし、本来は税金がこの社会の維持のために使われており自分もその恩恵を受けているというのに(権利)、納税によってその仕組みを支えなければならない(義務)という、基本的な権利と義務の関係について、正しく理解していないからだ。

ただ、自動的に納税される仕組みになっているということは、きちんと調べなければ知る機会がないということだ。これは良い悪いではなく、どうしても仕組み上そうなってしまっているので、自分がいま生きている社会の姿を正しく理解するために、税金の知識は身に着けておくことをおすすめする。そうして知識を得ることによってはじめて、国民としての正しい立場に立つことができ、政治家が税金をどう使うかについて対等に意見を述べることができるのである。