Heavy Duty

一緒に考えましょう。

今の仕事を続けるべきか辞めるべきか悩む人へ

私は3回転職しています。転職の回数はただの数字で何の意味もないと思っています。

ただ、最初の転職をするとき、正直言ってかなり悩みました。なぜなら、周りにいるのはその会社の人(その会社で仕事を続けることを選んでいる人)だけだったからです。

今の私がその時の私に声をかけられるとしたらどうするだろう、と少し考えてみようと思います。そしてこの記事が、誰かのなにかの役に立つことができれば嬉しいです。

 

小さく始める

安定した収入を得ることは、社会で生きていく上で基盤になってくれる。なにがあっても会社で働きさえすれば収入を得られるということは、当たり前のようでいてかなりありがたい話だ。

ただし、労働というのは基本的につらいことを引き受けるからこそ対価を得られるものであり、その仕事が自分にとって楽しいものであるかどうかはわからない。仕事の内容がつまらない、職場の人間関係が悪いなど、人間である以上合う合わないがあるのは当然であるし、それが本人のQOLを著しく下げてしまう場合があることも否めない事実だ。

ただ、いざ仕事を辞めて次の仕事を探すとなると、かなりの行動力が必要となる。まずは同僚や上司に話を通さなければならないし、取引先にも伝え、退職日を決めることができたのち、やっと次の就職先を探す活動ができる。これらを並行して進めることもできるけれども、そこまでの時間と労力を割くことは普通の会社員には難しい。

そしてそのようなステップを踏み、活動を続けたとして、無事に次の就職先がすぐに見つかるとも限らない。失業手当もあるけれども、必ずしも十分な金額ではない。これは貯蓄がない場合にはかなり厳しい。

ではどうすればいいか。選択肢の一つとして提示したいのが、まず小さくやってみるということだ。

転職求人サービスに登録するだけでもいい。次の職場を少し検索するだけでもいい。あるいは身に着けたいスキルがあるのなら、そのスキルの身に着け方を調べるだけでも十分だ。

こうしてなにか始めるということは、例えそれが小さなことだったとしても自分の気持ちを前向きにしてくれる。今の仕事が辛い、辞めたい……ということばかり考えていた頭の中に、あれもしようこれもしようという別の思考が生まれてくる。

この、別の思考が生まれるということが大事だ。人間はひとつのことばかり考えているとどうしても思い詰めてしまうし、正常な判断ができなくなる場合もある。このようなことを防ぎ、冷静な頭で続けるべきかどうかの判断をするため、なんでもいいから小さく始めることをおすすめする。

 

「続けること」や「アウトプット」自体に価値はない

では冷静に考えた結果、転職するという結論になったとしよう。まずは周りの人間に説明して筋を通さなければならない(この場合、筋を通さなければいけない対象はあくまで「人間」であって、侮辱や人格否定をしてくるような存在は「人間」ではないので対象に含める必要はない)。

ただ、必ずしも相手の理解を得る必要はない。同調圧力の強いここ日本において、転職という選択に理解を示してくれる人は少ないかもしれない。そもそもがその会社で働き続けていることを選んでいる人なのだ、自分と他人は関係ないという思考をきちんと持っていないと、転職の肯定を自分への否定に結びついてしまうこともあるかもしれない。

そんなときはあなた自身も自分と他人は違うということを思い出し、相手の意見を尊重するようにしよう。相手の意見を尊重することと、相手の意見に従うことは必ずしもイコールではない。このことを忘れてはならない。

そしてどうしても出てきがちな引き留め文句が「もう少し続けてみたら」という言葉だ。根拠があるならまだいいが、この言葉に根拠があることは少ない(むしろ引き留める論理があるならこのような言い方はしない)

結論から述べるが、続けることそれ自体に価値はない。

考えてみてほしい。いくら「1足す1は2」という計算を百万回、1億回繰り返したとして、なにか得られるものがあるだろうか? そうではなくて、「1足す1は2になる」という論理を自分のものにし、この論理を発展させることができないか、あるいはこれを利用して別のことをできないかなど、成長したり思考したりすること自体に意味があるのであって、なにかを継続するだけではなにも得られない。

音楽や漫画などの世界でも、私はその作品自体の価値に比べて、その作品を生み出せるに至った作者の思考や成長過程そのものの価値の方が、何倍も高いと考えている。この文脈で語るアウトップットはもはやゴミであり、出来上がって作者の手から離れた瞬間にその価値を失うのだ。

しかし、そのアウトプットを経た作者はもう以前の作者ではない。アウトプットのためのノウハウを自分のものにし、それを使って新たな価値を生み出すことができる。

このことから、その仕事を続けてまだ得られるものがあるなら「もう少し続けてみる」のもアリだが、そうでないなら早めに見切りをつけた方がよい。

 

やってみるしかない

そうして会社を辞めたとしよう。さて次はどうするか。

ここから先は、残念ながらアドバイスできることはひとつしかない。それはトライ&エラー、試行と失敗を繰り返して自分にとっての答えを探すことだ。

答えはすぐに見つかるものではない。それどころか答えが見つからないことも、探している答え自体が間違っていることもあるかもしれない。

これは自分で経験して自分のものにしなければ、本当の答えにはたどり着けない。

ただ私は言いたい。

「自分で自分を決める世界」にようこそ、と。